話題:妄想を語ろう

｢夢の中でね、私 誰かと約束してるの｣

唐突に 彼女が言う。聞くと定期的に指切りをするらしい、らしい‥と表現するのはいつもその人物の姿が光で見えなくて

指先の、スルリと絡ませる仕草や
指切りげんまんのリズムで揺れる感覚
生々しい程の存在感で

毎回目を覚ますそうだ

｢ふぅん、気にし過ぎじゃない？｣
余り深刻になっても‥そう考え
よくある事の様に、答えた。

私の言葉に破顔し
｢そうよね、私も考え過ぎかなって｣

照れ笑いしながら珈琲を口に運ぶ

｢そうよ、そう。ただの夢よ｣

鼻腔に珈琲の香りが広がる

ふと 違和感

｢あれ、ねぇ。いつから‥｣
いつから珈琲飲める様になったの？
改めて聞くのバカバカしい位
自然に珈琲を飲んでいる。

以前はエアコンの風向きを気にする位
珈琲の香りが苦手だったのに

服装の好みも 私の知る彼女ではない
嗜好品も、貸してくれたDVDも

｢好み、結構変わったんだね‥｣

｢そう？気にし過ぎじゃない？｣

白い服、珈琲の香りと
変わらない笑顔

歌う様に話す彼女

｢じゃあ、そろそろ｣
｢あ、ねぇ。はい！｣

小指を出す 彼女

｢また会える様に｣

ね。指切りげんまん